第1回 模擬試験
問題Ⅰ 次の文を読んで、後の問いに答えなさい。答えは1,2,3,4から最も適当なものを一つ選びなさい。
「統計数理研究所」が「日本人の国民性調査」の結果を先月末に発表した。調査は昭和28年から5年ごとに実施されているので、その結果を見ると、日本人の考え方の推移を認められて興味深い。
今回はそのなかで、男性・女性に関することについて結果を示しながら考えを述べて見たい。かつては多くの女性が、生まれ変わるとすると男性に生まれ変わりたいと言う願望を持つ、といわれてきたが、その傾向が逆転したのである。
「生まれ変わるとすれば男性か女性か」との設問に、69%の女性が「女性に生まれ変わりたい」と答えている。これを昭和33年の調査結果で見ると、女性の64%が「男性に生まれ変りたい」と答えているのだから、完全な逆転である。
これに関連して、「楽しみが多いのは男性か女性か」との質問でも、かつては男女とも「(1)」が圧倒的だったのが、ここでも逆転現象が起こり、男女全体で見ても、楽しみが多いのを「女性」(42%)とした回答が「男性」(38%)を初めて抑え、女性優位を示している。
このことは、わが国において、男性・女性の生き方や考え方に相当な変化が生じつつあることを示しており、きわめて興味深い。ただ、この結果をどう読み解くのは簡単なことではなく、速断はできないと思う。
もちろん、最近とみに強調されてきた男女共同参画社会がだいぶん実現されてきて、これまでのような一方的な男性優位の社会の在り方が改善されてきた、と言う事実が大きい要因と思われる。しかし、それだけが要因とは思われない。というのは、男女共同参画社会はだんだん実現されてきてはいるが、この数字に示されているほど、それは②満足すべき状況とは思われないからである。まだまだ、いろいろなところで男性優位の状況が認められる。
女性の7割の人が「女性に生まれ変りたい」と願い、男女全体で見て、楽しみが多いのは男性より女性だと判断することが、現在の状況の中で行われているところに、注目すべき点がある。③。つまり、現状においてさえ、「女性の時代④」が到来しつつあるとの予感がこれらの数字に反映されているように思われるのである。
これはつまり、女性も男性も同じことができるので、男をうらやましがる必要がない、と言うのではなく、女性は女性として楽しく、それは男性より楽しさが大きい、ということを示しているようだ。といって、ここで結論を急いで、男は「男らしく」、女は「女らしく」生きるのがよいなどということになっては、間違ってしまう。
そもそも、その時に言う「男らしい」「女らしい」とはどういうことを指すのか考えて見る必要がある。この調査で、男も女も共に、女の方が楽しみが大きいとしている理由のひとつとして、男は社会的因習にまだまだとらわれているのに、女の方が自由で好きなこと-それは従来「男らしい」と言われていたことも含む-ができるからいい、という面があると思われる。これによって、女は「女らしく」している方が楽しい、などという結論は決して出てこないだろう。
では次のような考えはどうだろう。従来、男のすることとして考えられていた、政治、経済、軍事、などに対して、女のすることのように考えられていた、文化、芸能、家事の差について比較してみると、前者は後者より価値が高く、したがって、男は女より優位であると思われていた⑤のが、最近になって変わってきたのではなかろうか。
女性も以前に比べるとはるかに、政治、経済、軍事などの分野に進出してきた。と同時に、男性も以前よりは、文化、芸能、家事などにかかわり、それを「女の仕事」と思う人も減ってきた。そのようななかで、従来の分類にしたがって、女の方が男よりも楽しいと一般の男女が共に気付きはじめた、と言うわけである。このような分類にしたがって、女の時代が到来しつつあると考える。
男性と女性の問題は、非常に複雑で、一筋縄で決してとらえられないし、男性的、女性的という意味も、決して明確にはならない。従って、今日の調査結果に対して、早急な答えは出せないにしろ、ともかく従来のステレオタイプを破る面白いこと⑥がおこりつつあるとはいえそうである。
問い1 文中の(1)には入る最も適当なものは次のどれか。
1、女性のほうが楽しみは多い 2、男性のほうが楽しみは多い
3、男女とも楽しみは少ない 4、男女とも楽しみは多い
問い2 「それ」とは、何を指しているのか。
1、一方的な男性優位の社会の在り方が改善されてきたこと
2、男女共同参画社会が実現されてきている現在の状況
3、男女共同参画社会g実現されてきたことを示す数字
4、いろいろなところで認められる男性優位の状況
問い3 「注目すべき点」とは、どうのようなことか。
1、女性の7割が「女性に生まれ変りたい」と願っている点
2、以前の調査と比べ、完全な逆転現象が起こった点
3、男性優位の状況で、男女共同参画社会が実現されている点
4、男性優位の状況で、男性より女性のほうが楽しみが多いと判断する点
問い4 「女性の時代」とは、どのような意味か。
1、女性に生まれ変りたいと言う人が増え、以前と比べ完全な逆転現象が起こる時代
2、女性が男性と同じことができ、男性をうらやましがる必要がない時代
3、女性が男性よりも優位に立ち、権力を持つ時代
4、男性に比べ女性のほうが自由で好きなことができるのでいいという時代
問い5 なぜ「男は女より優位であると思われていた」のか。
1、女より男の方が、楽しみが多かったから
2、男の仕事は女のより価値が高いとおもわれていたから
3、男は文化、芸能、家事などをしなかったから
4、政治、経済、軍事などの分野に女が進出しなかったから
問い6 筆者の述べている「ステレオタイプを破る面白いこと」とは、何か。
1、男性、女性の生き方や考え方に変化が生じていること
2、男は男らしく、女は女らしく生きることが逆転すること
3、男性優位の社会から女性優位の社会になって、男女の仕事が変わること
4、今までと違って、男性が女性の生き方をうらやましがること
問い7 今回の調査で、逆転現象が起きたのはなぜだと筆者は考えているのか。
1、男性優位の社会が改善され、女性が優位に立ちはじめたから
2、女性は女性として、それは男性より楽しさが大きいから
3、男性は社会的因習にとらわれているが、女性は自由で好きなことができるから
4、男性の仕事を女性が、女性の仕事を男性ができることに一般の男女が気付いたから
問い8 筆者がこの文章で最も言いたいことは、どれか。
1、 男女共同参画社会が実現され、男性優位の社会が改善されてきてはいるが、まだまだ男性優位の状況があり、満足すべきではない
2、 まだまだ男性優位の状況の中で、自由で好きなことができる女性の時代が到来しつつあることは極めて興味深いことである
3、 男性は社会的因習にとらわれている一方で、「女の仕事」もするようになり、男らしくするより、女らしくする方が楽しいと気付いた
4、 男性と女性の問題は複雑で速断はできないが、調査の結果を見ても何かが変わっていくかもしれないという予感がして興味深い